遺言書がない場合、遺族(法定相続人)は民法により定められた「法定相続分」によって遺産の分配をするのが基本です。しかし「遺産分割協議」によって法定相続分と異なる分配をすることもできます。ところが、実はこの「遺産分割協議」こそ、遺産争い、いわうる「争族」始まりのゴングなのです。
四十九日の法要の前後から遺産相続の話が持ち上がることが多いようです。 最初は、冷静に話が始まりますが、徐々にそれぞれの本音が出てきます。
(例)
5年前に亡くなったお父さんの財産をすべて相続したお母さんが亡くなった家庭。
相続財産は、時価3,000万円の自宅と預貯金1,500万円。
相続人は、兄と妹の二人だけ。
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妹「兄さんは、大学に行かせてもらったうえに、(1)マンションの頭金まで出してもらって…私よりもずっとお金がかかったって、お父さんが言ってたよ(^^)」・・・
兄「お前の(2)結婚式には、300万円もかかったって、お袋がこぼしてたぞ〜(^^)」・・・
妹「最期の3年間、ほとんど私が(3)お母さんの面倒をみてた。兄さんは、半年に一度くらい顔をみせるだけで、義姉さんなんかこの一年間一度もお見舞いにも来なかったじゃない!?(−−)」・・・
兄「その分、同居してた(4)お前の家族の生活費はほとんどお袋が出してたじゃないか!?(−−)」
妹「・・・とにかく、この家は私がもらうからね!!(><)」
兄「ふざけんじゃねえよ!!(><)」・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく
(1)特別受益 (2)特別受益 (3)寄与分 (4)特別受益
過去の積年の不満が噴出してくるのが、遺産分割協議の場です。
相続人たちがこのような「骨肉の争い」をするのを避けるためにも、遺言書を残し、自分の遺思を相続人たちに正確に伝え、自分が残した遺産で相続人たちが争わないように手当しておくことが大切です。
また遺言書によって相続分減らされたり、遺留分が侵害されていたとしても、「付言事項」によってその理由や、自分の思いを伝えることで、相続人に理解してもらえることもあります。
このように遺言書があれば遺産相続の手続きもスムーズに行われますが、遺言書がなかったばかりに相続手続きが中々進まないのみならず、相続争いで相続人同士の関係が悪化し、最悪の場合は裁判にまで発展して、結局「絶縁」ということも珍しくありません。そして一生涯、精神的・物理的負担として相続人たちにのしかかる事態となります。
≪だから遺言書を残すことはとても重要なのです!!≫