(目次)
1.事業承継とは…?
2.経営承継円滑化法の概要
3.相続税・贈与税の納税猶予制度
4.遺留分の特例
5.「最期の一手」事業承継における遺言の重要性
6.当事務所の役割
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1.事業承継とは…?
ひとくちに「事業承継」と言っても、これには二つ
の側面があります。
ひとつは「経営の承継」つまり、企業が有する技術や
販売手法などの経営上のノウハウ、あるいは「暖簾」
などを次代の経営者に引き継ぐことです。「ソフト
部分の承継」とも言えるでしょう。
これに対して、自社の株式や事業用不動産・機械
設備などの「資産の承継」は「ハード部分の承継」
と言えるでしょう。そして、これは「相続」という
側面を持つものでもあります。
平成20年10月1日に施行された「経営承継円滑
化法」は、主としてこの企業のハード部分たる「資産
の承継」をスムーズに進めることを狙いとした法律
です。
2.経営承継円滑化法の概要
従来、中小企業の経営者が後継者へ事業を引き継ぐ
際に大きな障害となっていたのが、相続税です。
企業の業績が良ければ良いほど、自社株の評価が
上がり、結果として親族への事業承継の時に莫大な
相続税として後継者を圧迫します。そして、その税
負担の重荷に耐えきれず、廃業してしまうというこ
とも少なくありません。
しかし、このような事態は、地域経済にとっての
大きな損失であり、同時に地域の雇用の喪失という
マイナス面しか生み出さず、ひいては日本の産業
の空洞化を招くものです。
このように今回の立法の背景には、中小企業の後継者
の税負担を軽減して事業承継を円滑にし、もって地域
経済の活性化と雇用の確保を図るという、政策的な
目的もあるのです。
3.相続税・贈与税の納税猶予制度
上記のような事業承継の阻害要因である相続税等の
軽減措置として設けられたのが納税猶予制度であり、
経営承継円滑化法のひとつの柱です。
同制度が適用された場合、発行済み自社株式の2/3
までの部分に対する相続税の80%の納税が猶予され
ます。
もちろん、企業の規模、経営者や後継者の要件、取得
する株式数など、いくつもの条件が課されており、
必ずしもハードルが低いとは言えません。
また、あくまでも納税の「猶予」であって「免除」
ではないので、事業承継後に一定の条件を充たさな
くなったり、自社株を他に譲渡した場合には、相続時
や贈与時に遡って利子税が加算された税額を納税しな
ければなりません。さらに、当然ですが譲渡所得税
も課されます。
このように適用の要件はそれなりに厳しいものがあり
ますので、法律や税務の専門家の協力が必須となりま
すが、要件をクリアして税負担の軽減を受けられれば、
後継者へのスムーズな事業承継の途が開けるものと
言えるでしょう。
4.遺留分の特例
民法第1028条は、法定相続分の1/2を遺留分、
すなわち法定相続人の最低限の取り分、として保障し
ていますが、従来、この遺留分規定もまた、事業承継
の阻害要因となっていました。後継者以外の相続人が、
遺留分減殺請求をしてきた場合、後継者は請求額相当
額の現金を用意できなければ、事業用資産を売却して
でも請求に応じなければならないからです。
遺留分制度にも、それなりの合理性はあるのですが
(遺族の生活保障など)、事業用財産の集中が不可欠
な事業承継においては、事業用資産の散逸という事態
を招く遺留分減殺請求を制限する必要がありました。
従来も「遺留分の事前放棄」などによって対応できた
ケースもありましたが、家族関係が複雑な場合などに
は十分に機能せず、事業承継における不安定要素とな
っていました。
経営承継円滑化法は、この不安定要素を解消するため
一定の条件のもとに、自社株式および他の事業用資産
を遺留分算定の基礎となる財産から除外することを認
めました。推定相続人全員の合意や経済産業大臣の確
認、さらには家庭裁判所の許可など、この制度のハー
ドルもそれなりに高いのですが、贈与株式の評価額を
予め固定できるなど、うまく活用できれば大きなメリ
ットが見込めます。
5.「最期の一手」事業承継における遺言の重要性
以上のように、納税猶予制度や遺留分特例などを上手
に活用できれば、従来よりも円滑な事業承継が可能な
環境が整ったといえます。
しかし、最初にも述べたように中小企業における「事業
承継」は、あくまで「相続」です。そしてこれを言い換
えれば、事業承継とは、「相続財産の大部分を後継者と
いう特定の相続人が独占する相続」なのです。他の相続
人も、事業の継続のために必要なことだと理解はしてい
ても、現実に相続が発生した時には、不満や不公平感を
抱かないことは少ないでしょう。
昨今、相続は「争族」などと言われます。一般のサラリ
ーマン家庭と違い、中小企業経営者の家庭では、なまじ
相当な資産があるが故に「争族」の原因は少なくないと
言えます。せっかく事前に万全な準備をして事業承継を
したのに、「争族」が起こったのでは意味がありません。
このような不幸な事態を回避するための有効な手段、
それが「遺言」です。先代経営者の明確な遺志とそれ
ぞれの家族に対する想いを伝えることによって、最後の
不安要素を消すことができます。遺言によって、円滑な
事業承継と円満な相続が完結します。遺言は、経営者に
とって、いわば「最期の一手」なのです。
6.当事務所の役割
円滑な事業承継と円満な相続の実現のため、事業承継
の企画から完結まで、下記のような業務によりフォロー
アップいたします。
@事業承継のプランニング及びコーディネート
A経済産業大臣の確認申請ほか、事業承継許認可手続
B公正証書遺言の起案・保管業務・執行業務
C不動産コンサルティング
D任意後見契約の受任
E遺言執行ならびに事業承継および相続手続の完結
(提携税理士・社会保険労務士・弁護士等の専門家集団
を当事務所がコーディネートして業務を遂行いたします)
秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。
2009年02月21日
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